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【書評】『最強の読み方』(池上彰、佐藤優) 執筆:祝田 良則

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お薦めの本の紹介です。
池上彰さんと佐藤優さんの『僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』です。

池上彰(いけがみ・あきら)さんは、フリージャーナリストです。
元NHKで記者やキャスターを歴任、現在はさまざまなメディアで幅広くご活躍中です。

佐藤優(さとう・まさる)さんは、元外務キャリア官僚の作家です。
国際情報局の主任分析官として対ロシア外交の最前線にいた経験をお持ちです。

“知の巨人”の二人が明かす「最強の読み方」とは?

池上さんと佐藤さんは、月数十本もの原稿の締め切りなど、膨大な仕事をつねに抱えています。
その一方、新聞や雑誌、書籍等にも毎日必ず目を通し、新しい知識の入手にも貪欲です。

二人の知的生産性の高さはどこから来るのか。
池上さんは、その理由を以下のように説明しています。

 佐藤氏の知的探究心に基づく行動は、まるで修行僧です。どんなに忙しくても、毎日必ず一定の読書時間を確保する。そうした知の棚卸しをすることで、判断の間違いを防止することができます。
大量の読書を続け、あらゆる享楽から距離を置き、現実の問題の背景に横たわる本質を追求する。そんな生活をしていて、どこが面白いのか。その疑問は、結局私に返ってきます。私も同じような生活をしているからです。
でも、傍から見るほど苦しくはないのですね。毎日の勉強で視野が広がったときの喜び。国際情勢に対する自分なりの読みが当たったときの満足感。きっと、こうした知的快楽に押されて、私たちは走っているのだろうと思います。
これについて佐藤氏は、本文の中で、知は「武器」であり、「楽しみ」でもあると語っています。〈物事の背景を深く知ること自体が、知的好奇心を満たす純粋な「楽しみ」にもなります〉というわけです。
と同時に、〈知識は、生き残るための武器であり、かつ「防具」にもなります〉と喝破します。あふれる情報の海に溺れることなく泳いでいくためには一定量の知識が必要ですし、その知識量に裏打ちされた判断力によって目的地を間違えることなく泳ぎきることが出来るはずです。
佐藤氏も私も、知識を吸収し、自分の分析力を高める手法に、奇抜なものはありません。ごくオーソドックスな基礎的動作を繰り返しているだけ、とも言えます。
ということは、読者のあなたにもできることが多いということです。
ネットにあふれる玉石混淆の情報。偏見に満ちた思い込みで歪んだ分析。こうしたノイズに流されることなく進むには、しっかりとした取材に裏打ちされた新聞や雑誌、書籍から基礎的知識を吸収する必要があります。基礎的動作を積み重ねて築いた確固たる視点があれば、ネット上のデマに惑わされることもなくなるでしょう。

『僕らが毎日やっている最強の読み方』 はじめに より 池上彰、佐藤優:著 東洋経済新報社:刊

本書は、「知の巨人」の二人が日々実践している「最強の読み方」を体系的に解説した一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

新聞はいまも「世の中を知る」基本かつ最良のツール

佐藤さんは、新聞は「世の中を知る」ための基本かつ最良のツールであると述べています。

池上 いくつかの問題点はあるものの、日常の情報源として新聞はやはり優れていますね。一面から順にめくっていけば、政治、経済、国際情勢、そして文化やスポーツを含めた世の中の動き全体を、短時間でざっと俯瞰できる。その「一覧性」において新聞に優るものはないでしょう。
佐藤 私は現役外交官だったころ、必要な情報の約6割を新聞から得ていました。モスクワの日本大使館にいたときも、東京の外務省国際情報局でもそうでした。
池上 インテリジョンスのプロ中のプロがおっしゃると、説得力がありますね。ちなみにほかの4割は?
佐藤 雑誌、テレビ、書籍、ネットを通して得た情報があわせて2割。外務省が公務で用いる電報の「公電」が1割で、残りの1割が人から――つまり政府要人や科学アカデミーの専門家、情報やと直接面談して得る情報、というイメージでした。もちろん時期によって変動はありますし、当時はネットがいまほど発達していなかったこともありますが。
池上 人から得る情報が全体の1割程度というのは、少々意外ですね。
佐藤 人から得る情報は機密性が高く、非常に重要です。比率としては少なくても密度の濃い情報です。ただ、そういった機微に触れる情報を聞き出そうと思ったら、やはり新聞を丹念に読んで内外の事情に精通していないと話しにならないんですよ。だから毎日5~6時間は、新聞を読む時間にあてていました。
池上 新聞で仕入れた情報があってこそ、より深い情報を引き出せるわけですね。
(中略)
佐藤 いまでも政治、経済、文化エリートで新聞を読まない人はいないはずです。軽い世間話であっても、ニュースについて何らかの見解を求められて会話が続かなければ、「その程度のやつだ」とあっさり見限られますから。今後、いくら新聞の購読者数が減っても、この傾向は変わらないはずです。
池上 新聞をとっていない人も最近は多いようですが、じつはそういう人も日々「新聞の情報」自体は断片的に見聞きしています。ニュースサイトで配信される記事の多くは新聞社や通信社が配信したものですし、SNSや個人ブログでリンクを張られている情報をたどっていくと、「第一次情報は新聞」というケースが非常に多い。
佐藤 おっしゃるとおりです。新聞の発行部数は世界的に減っていますが、だからといって新聞の影響力が小さくなったわけではありません。ネットの普及によって、実際の発行部数以上に多くの人が新聞の情報を目にしています。それにメディア関係者も、なんだかんだいって新聞を情報源にしていることが多い。
池上 そうなんですよ。テレビ局だって、新聞記事を丹念に読んだうえで、面白そうな話題を探して番組で取り上げることが多々あります。国内外のつぶさな動きをいちからすべて自分たちの足で取材することは不可能ですからね。
佐藤 世の中のリアルな情報を知るには、新聞を読むことが不可欠です。

『最強の読み方』 第1章 より 池上彰、佐藤優:著 東洋経済新報社:刊

新聞の読み方にはひとつの大前提があります。
それは、新聞は少なくとも2紙以上読まなければ危険だということです。

新聞各社の論調はさまざまです。
加えて最近は、保守系とリベラル系の違いが鮮明になってきたとのこと。
池上さんは、1紙だけ読んでいると、読者は自分が読んでいる新聞のバイアスになかなか気づかないと指摘します。

以下に、二人の読んでいる新聞のリストを載せておきます。
参考にしてみてください。

2人が読んでいる新聞リスト 第1章 P49
図.2人が読んでいる新聞リスト
(『僕らが毎日やっている最強の読み方』 第1章 より抜粋)

新聞は「飛ばし読み」が基本!

具体的な新聞の読み方について。
池上さんは、新聞はあくまで「飛ばし読み」が基本だと述べています。

池上 読むといっても、一字一句すべてを通読する必要はありません。新聞はあくまで「飛ばし読み」が基本です。朝刊の文字数はおよそ20万字と言われていて、書籍にすれば新書約2冊分。じっくり読んでいたら、それだけで1日が終わってしまいます。
佐藤 私も「見出しを見て、読むかどうか迷った記事は読まない」を原則にしています。一般的なビジネスパーソンが新聞にかける時間は1日2時間が限度でしょう。理想をいえば、精読のスピードを上げて1時間で済ませたい。
池上 そうですね。1時間で精読できる記事といえば、ベタ記事を含めて全部で30から50程度でしょうか。「ベタ記事」というのは業界用語で、1段のスペースに十数行程度の短い記事のことです。
佐藤 そう思います。だから大事なことは、「1日のうちで新聞にかける時間」をまずは決めることです。そのうえで、どの新聞をどの程度読むかを決める。新聞を読むことは、一部の職業人を除き「目的」であって、「手段」ではありませんから。
池上 私の読み方は先ほども少し述べましたが、まずは新聞を一面からめくりながら、「見出し」をざっと見ます。朝はこれだけで済ませることが多いですね。夜にもう一度目を通すときは、朝に目を通したときに気になった記事の「リード」をまず読み、さらに興味があれば、本文に目を通します。ちなみに「リード」というのは、大きな見出しに付いている、見出しと本文のあいだに書かれている文章のことです。
佐藤 「見出しだけで済ませる記事」「リードまで読む記事」「最後の本文まで読む記事」の3段階に分けて読むわけですね。
池上 そうです。というのも、新聞は「大事な大きなこと」から「付随的な小さなこと」へという「逆三角形」の構造で書かれているので。どの新聞記者も新人時代には、その順番で記事を書く訓練を徹底的に受けます。
佐藤 じつは私もまったく同じ読み方をしています。「見出し」と「リード」で読む読まないを判断するのがいちばん合理的という考え方ですね。

『最強の読み方』 第1章 より 池上彰、佐藤優:著 東洋経済新報社:刊

新聞は、毎日定期的に発刊されています。
その度に情報がアップデートされるので、何より「続けて読むこと」が重要となります。

紙面をざっと眺めて、自分が大事だと思う部分を重点的に読む。
それが新聞と長く付き合うための秘訣です。

☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆
「世の中のことをもっと知りたい」
「得た知識を発信して、もっと社会に貢献したい」

そんな飽くなき「知への欲求」が、お二人のバイタリティあふれる行動の原点です。

池上さんはアナログ重視、佐藤さんはデジタル重視。
傾向の違いはありますが、「読み方」のスタイルには、多くの共通点があります。
知識のインプットも、極めるとひとつの道に通じるということでしょう。

蓄えた知識の膨大さは、他の追随を許さないお二人ですが、その方法は驚くほどシンプルです。
誰にもできることを、どれだけ続けられるか。
それが、“知の巨人”になるための秘訣だということです。

日本を代表する最強のインテリジェンスのお二人の「最強の読み方」。
ぜひ参考にしたいですね。

↓本書について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらをどうぞ!
 http://maemuki-blog.com/?p=10987

109 祝田 良則

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